【実施報告書】
せんだい 未来に繋ぐ環境農食育の輪 プロジェクト 第3段!

実施日:2026年6月14日(日)
活動場所:宮城野区岡田新浜団体農地
報告者:プロジェクト担当スタッフ めぐ

1. はじめに:社会的背景と本プロジェクトの意義

昨今、急激な円安や物流コストの上昇、さらには異常気象による農作物の不作などが重なり、スーパーに並ぶ食料品の価格高騰が日常化しています。家計への負担が増大する中、消費者は「いかに安く買うか」に目を向けざるを得ない状況が続いています。また、都市化や生活様式の変化により、現代の子供たちが日常的に土に触れ、自然環境から直接学ぶ機会は物理的にも著しく減少しています。

このような「自然環境の学びが難しい時代」において、本プロジェクトは単なる農業体験にとどまらない深い意義を持っています。専用の団体借用農地を利用し、月に1〜2回のペースで継続的な「環境型農育活動」を実施することで、子供たちと保護者が共に土に触れ、食の根源を学ぶ場を提供しています。

【本プログラムの基本理念】
本活動は「食育」「農育」「環境教育」の3つの柱を複合的に組み合わせ、活動の質を高めるよう設計されています。郷土野菜を中心に、無農薬・除草剤不使用で年間を通じた栽培(種まき・発芽管理・除草・仕立て・収穫)を行い、収穫後はそれらを利用した調理活動も実施。SNS等で広く公募した親子が参加し、ここで得た学びを自宅での実践(フードロス削減や食の選択など)へと繋げ、日常生活の質を向上させることを目指しています。

2. 実施概要と参加者の様子

2026年6月14日、宮城野区岡田新浜団体農地にてプロジェクト第3段を実施いたしました。今回は、公募により集まった12組35名の家族にご参加いただきました。

特筆すべき点として、先月(5月29日)に本プログラムの一環として遠見塚小学校で実施した派遣事業(出前授業)を体験されたご家族に、今回多数ご参加いただいたことが挙げられます。学校現場での「きっかけ」が、休日の親子での「自発的な実践行動」へと繋がったことは、本プロジェクトが目指す「学びの環」が地域に確実に根付き始めている証左と言えます。

3. 活動内容の詳細:循環型社会を体感する3つのプログラム

今回の活動では、複合的な学びを提供するため、以下の3つの体験プログラムを実施いたしました。

① 玉ねぎ収穫体験とフードロス削減、残渣(ざんさ)の堆肥化

まずは旬を迎えた玉ねぎの収穫体験を行いました。子供たちは土の匂いを感じながら、自分の力で根を張った玉ねぎを引き抜く喜びに溢れていました。しかし、私たちのプログラムは「採って終わり」ではありません。

物価高騰時代において食材を無駄なく使い切ることは必須のスキルです。そこで、収穫後には「玉ねぎの長期保存方法」と「フードロスをなくす先人の知恵(風通しの良い場所に吊るす工夫と吊るし方など)」についてレクチャーを実施しました。さらに、通常はゴミとして捨てられてしまう玉ねぎの葉や切り落とした根(残渣)を集め、次期作物のための堆肥にする「残渣の堆肥化」作業を親子で行いました。「ゴミが次の野菜の栄養になる」という自然界の循環(サーキュラーエコノミー)を、子供たちには手を動かしながら理屈ではなく感覚として学んでいただきました。

② 完全有機栽培ぶどうの摘果・袋がけ体験

続いて、農薬を一切使用しない完全有機栽培で育てているぶどう棚に移動し、摘果と袋がけの体験を実施しました。スーパーに並ぶ形の良い果物が、いかに多くの手間と時間の上に成り立っているかを知る重要な体験です。

「美味しいぶどうを育てるためには、もったいないけれど小さな実を落とさなければならない(摘果)」という説明に、最初は戸惑う子供たちもいましたが、一つ一つの実に袋を丁寧に被せていく作業を通じて、農家の方々の苦労や、農薬を使わずに病害虫から作物を守る難しさを肌で感じ取っていただきました。
袋には子供たち一人一人に名前とコメントを書いていただき、これから2カ月間の最終成長・熟成を楽しんでいただき、自分の『マイぶどう』を収穫できる、将来に繋がる『楽しみ』も提供させていただきました☆

③ 仙台大豆【ミヤギシロメ】の植え付け体験(有機農育)

最後に、仙台の郷土野菜である高級大豆【ミヤギシロメ】の植え付けを行いました。ここで活躍したのが、以前の活動で出た野菜の残渣を発酵させて作った「自家製堆肥」です。

今回はこの自家製堆肥に加え、天然資材であるバットグアノ(コウモリのフンが長い年月をかけて化石化したリン酸肥料)などの100%有機肥料のみを使用し、無農薬・除草剤不使用のフカフカの土に種を蒔きました。自分たちで作り上げた土(環境)に、地域の伝統野菜(農と食)を植えるこの作業は、本プロジェクトの理念を最も体現するものでした。

【われわれスタッフの視点】
急激な物価上昇の中で、私たちはつい目先の「価格」にとらわれがちです。しかし、今回親子で泥だらけになりながら、残渣を堆肥にし、天然資材で大豆を植え、虫と共生しながらぶどうを守る姿を見て、「命を育むコストと価値」を再認識する場が今まさに社会に求められていると強く感じました。子供たちが自宅に帰り、スーパーの玉ねぎやぶどうを見たときに、今日体験した土の感触や農家の苦労を思い出し、食卓での会話が変わること。それこそが、私たちが目指す「日常生活に繋がる質の高い学び」と考えています! ※固くなっちゃいますが・・私たちは将来に繋がり『意義』のある活動を心がけています☆☆☆

4. まとめと今後の展望

今回の第3段プログラムを通じて、12組の家族が「食・農・環境」が密接に繋がっていることを実体験として学びました。単発のイベントではなく、年間を通して無農薬で栽培・管理を続けていくからこそ得られる「当事者意識」が、参加者の皆様の中に確かに芽生え始めています。

次回以降は、今回植え付けたミヤギシロメの発芽管理や除草作業に加え、自分たちで収穫した野菜を用いた「調理活動」も予定しております。食べる喜びを通じてさらに学びを深め、この厳しい社会情勢の中にあっても、豊かで持続可能な未来を築くための「環境農食育の輪」を、仙台の地から力強く広げてまいります。

引き続き、本プロジェクトへのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

公益財団法人イオン環境財団